マテリアル・パイプライン

適材を、適所へ、適時に


「適材適所」と言いますが、マーケティングの世界ではこれに「適時」を加える必要があります。導入担当者が情報収集・検討する際のマテリアルと、エンジニアが機能評価を行うためのマテリアル、経営者が意志決定を行う際に参考にする情報は、自ずと違います。それぞれに最適な具体化の粒度・抽象度・技術レベル・詳細度があり、それを外したマテリアルは効果が無いばかりか、逆効果にすらなりかねません。しかし、現在は多くの企業がすべての関係者に対して同じマテリアルを同時に提供しています。適切なマテリアルを、適切な人へ向けて、適切なタイミングで提供することで、効率的にビジネスを進めることができるのです。



B2BとB2C

一般の消費者を相手にするECサイトなどのB2Cサイトでは、「衝動買い」というものがあり得ます。そのため、購買意欲を煽るような演出も効果がありますが、企業が購買を行うB2Bの場合、一人の思いつきや好みでは購入できないことがほとんどです。稟議などのプロセスを経るため、衝動買いというものはあり得ません。稟議というプロセスに堪えうる理論武装とそれを裏付ける資料が必要になるのです。


最近Webマーケティングでは、「ナーチャリング(育成)」という言葉を見ることが多くなってきましたが、これも目的は同じです。マテリアル・パイプラインは、ナーチャリングをマテリアルの視点から考えようとするものです。

現代の消費者は広告をそのまま信じるのでは無く、様々な媒体を使って多角的に商品・サービスを検討します。その際に最も重視するのは「当事者で無い」ユーザーの声、インフルエンサーの意見、知り合いの評価などです。しかし、その商品・サービスを提供している企業が直接発信している情報も、相変わらず重要な情報ソースの筈です。昔と違うのは、良いことばかり書いてあるカタログは「胡散臭い」とみられてしまうこと。要するに、正しい情報を、変に飾らずに発信すれば良いのです。良いものであればその魅力は確実に伝わり、お客様がニーズに合致すると思えば、成約に漕ぎ着けることができます。逆に言えば、そうではない理由(マイナスポイントを隠したプロモーションや、勘違いを引き起こさせるような曖昧な説明など)によって購入に至った製品・サービスは、決して顧客満足度を上げることはなく、悪い口コミを呼ぶなど、長期的にはビジネスのためになりません。